【地業工事】一級建築士学科試験「施工」の勉強

こんにちは。あいです。

この記事では、一級建築士学科試験の施工科目「地業工事」について解説します。

地業工事とは主に杭をイメージしてもらってOKです。

※本記事は一級建築士試験で通用するレベルの必要最低限の情報をまとめていますので、あらかじめご了承ください。

杭基礎の分類

一級建築士試験で出題されるレベルなら上の表程度の区分を覚えておけばOKです。

表中の各工法について解説していきます。

既製杭工法

既製杭工法は大きく「打込み式」と「埋込み式」に分けられます。

確認項目確認内容
施工精度・鉛直精度:1/100以内
・杭頭の心ずれ量:杭径の1/4かつ100mm以内
施工方法・一群の杭の打ち込みは群の外側から中心に向かって打ち進める
運搬・杭の両端から杭長の1/5の点で支持する。
仮置き・長期間保存する場合は、直接風雨にさらされないように養生する。
・とくに現場溶接を行なう開先部は防錆処理を行う。

打込み式

既製杭の打込みは、杭をハンマーなどを用いて打撃し、支持層に杭を貫入させる工法です。

一級建築士試験で既製杭工法といえば次の埋込み式を覚えておけば問題ないです。

埋込み式:プレボーリング(セメントミルク工法)

埋込み式のプレボーリングは、アースオーガーで掘削した削孔を根固め液杭周固定液(セメントミルク)で保護し、そこに既製杭を建て込んで支持層に定着させる工法です。

確認項目確認内容
アースオーガー・アースオーガーの引き上げは正回転ゆっくり行う。
・余掘り量の許容値は50cm以下とする。
・アースオーガーヘッドは、杭径より100mm程度大きいものを使用する。
掘削深さ・根入れ深さアースオーガーの支持地盤への掘削深さ1.5m程度とする。
杭の支持地盤への根入れ深さ1m以上とする。
杭周固定液・アースオーガーで掘削後、杭底に根固め液を注入し、杭周固定液を孔中に充填しながらアースオーガーを引き上げる
支持地盤への到達確認・アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化を読み取る
・アースオーガーの先端に付着した排出土と土質標本との照合
掘削深度・予定の掘削深度になっても支持地盤が確認できない場合は、監理者と協議し、掘削完了深度を決定する。
高炉セメント・地下水に硬化を阻害する硫酸塩を含む場所等においては、化学抵抗性が大きい高炉セメントを用いる。
養生・建込み後は7日間程度養生する。
供試体の採取・根固め液はグラウトプラントから採取
・杭周固定液は、杭挿入後の掘削孔からオーバーフローした液を採取

埋込み式:中堀り

埋込式の中堀りは、杭の中空部にアースオーガー等を挿入し、杭先端部の地盤を掘削しながら杭を所定の深さまで貫入させた後、所定の支持力が得られるように先端処理を行う工法です。

確認項目確認内容
フリクションカッター・杭先端に円筒状のフリクションカッターを装着すると、杭外周面と地盤との摩擦力が小さくなり、杭の沈設を容易にする。

場所打ち杭工法

場所打ち杭工法は大きく「オールケーシング工法」と「アースドリル工法」に分けられます。

いずれもまずは地盤を所定の深度まで掘削し、その中に鉄筋かごを挿入してコンクリートを打設することで杭を築造します。

確認項目確認内容
気温補正寒冷地では必要に応じて調合強度の割増しを行い補正する。
水セメント比60%以下
単位セメント量泥水中(安定液中)で打込む場合:330kg/㎥以上
空気中で打込む場合:270kg/㎥以上
鉄筋かご長さの調整最下段で行う。
・継手は重ね継手とする。
帯筋は主筋に鉄線で結束し、帯筋の継手は、片面10d以上フレアーグルーブアーク溶接
補強リングは堅固に溶接
・主筋は束ねて配置し、主筋間隔を大きくするのが望ましい。
コンクリート打設・コンクリート上面の打ち上がり高さは、コンクリートの運搬車の打ち終わりごとケーシング及びトレミー管の引き抜き時に必ず測定する。
トレミー管・トレミー管の先端はコンクリート中に2m以上入れる。
杭径の確認・コンクリートミキサー車1台ごとにコンクリートの上昇高さを計測しておき、打ち込み量を元に杭径を計算する。
杭頭部・コンクリートの打ち込みの際に杭頭部に余盛りを行い、コンクリート硬化後に除去する。
試験杭最初に施工する本杭を試験杭とする。
・なるべく全杭を代表すると思われる位置とする。
埋戻し・杭頭のコンクリートが初期硬化した後に、良質土で埋戻しする。
連続の施工近接している杭は連続して施工しない
スライム処理一次処理底ざらいバケット
二次処理水中ポンプ式、エアーリフト方式等
支持層の確認・バケット内の土砂を土質柱状図及び土質資料と比較して行う。
・ケリーバーの振れや掘削機の回転抵抗等を参考にする。

オールケーシング工法

確認項目確認内容
孔壁保護ケーシングチューブによる。
・ケーシングチューブの先端はコンクリート中に2m以上入れて保持する。
・コンクリート打込み後、ケーシングチューブを引き抜いて作業完了。
ボイリングボイリングが発生しやすい工法のため、砂質地盤では孔内水位を地下水位と被圧水位よりも高く保って掘削する。

アースドリル工法

確認項目確認内容
孔壁保護安定液による。
・安定液の配合は、できるだけ低粘性かつ低比重のものとする。

地業工事の関連項目

この章では、上述できていない地業工事に関係する項目について整理します。

産業廃棄物

確認項目確認内容
固化剤・深層混合処理工法で地表に戻ったスライムは産業廃棄物として扱う。
建設汚泥・セメント系の改良材等の混合により改良土等として埋戻し材として再利用する。

捨てコンクリート

確認項目確認内容
規格・設計基準強度:18N/m㎡以上
・厚さ:50~100mm

プレストレストコンクリート杭

確認項目確認内容
杭頭処理・ダイヤモンドカッター方式で杭頭を切断するに当たり、当該切断面から350mm程度は補強を行う。

地業工事のまとめ

本記事では、一級建築士学科試験の施工科目「地業工事」について解説しました。

杭は全ての工法を完璧に覚えようとすると難しいですが、一級建築士試験で出題される程度ならそこまで難しくはないと思います。

既製杭工法なのか場所打ちコンクリート杭なのか、それぞれの分類を意識して勉強していきましょう。

それでは。