こんにちは。あいです。
この記事では、試験杭立会いの流れについて解説します。
※実際に立ち会う際は、自社のルールをご確認ください。
試験杭とは
試験杭は支持層を確認するための杭で、最初に打設する杭のことを指します。
※試験杭は打設後、そのまま建物の杭に使用します。
杭の設計時に、支持層のおおよその位置はボーリングデータから把握していますが、ボーリング調査する位置と杭を打設する位置は完全に一致はしていません。
(もし杭の位置全てでボーリング調査をしようとすると、ものすごい数の調査になり非現実的です。)
そこで、最初に打設する杭である試験杭を打設した際、きちんと杭先端が支持層に到達していることを確認し、この時の値を管理基準値として本杭の打設を管理していきます。
立会い時の流れ
この章では、実際に試験杭立会いの際の流れについて整理します。
①墨出しの確認
杭を打設する位置の墨出しが図面通りになっているか確認します。
杭を打設すると墨が消えてしまうので、逃げの墨を打っておくことも必要です。
②材料検収
設計図や施工計画書通りの杭が搬入されているか確認します。
間違った材料が搬入されることはそうそうありませんが、間違いがあってはならないのできちんと確認します。
型番、杭長、杭径、杭厚、翼径などを確認します。
③使用機器の確認
杭が設計図通りであることを確認した次は、杭を打設する機械が施工計画書通りであることを確認します。
杭打機も杭や地盤によって選定する必要があり、場合によっては支持層まで打込めないこともあるため注意が必要です。
④試掘
杭を打設する前に、アースオーガーを用いて試掘することがあります。
試掘をすることで支持層の地盤を採取することができるため、より確実に支持層到達を確認することができます。
また、支持層に到達する途中に硬い岩が紛れ込んでいたりした場合、鋼管杭が上手く打設できないこともありますが、試掘をしておくことでこのリスクを減らせます。
試掘は実施しない場合もあるので、施工計画の段階でよく確認しておきましょう。
⑤杭芯セット
「①墨出しの確認」で確認した墨に杭芯を合わせて、実際に打設していきます。
この時、杭が鉛直になっているかの確認も重要です。
⑥溶接確認
杭が一本だと長さが足りない場合、2本以上の杭を繋げる必要があります。
ほとんど埋まった状態の一本目の上に二本目を設置し、溶接で繋げます。
この時溶接に不備がないか、浸透探傷試験(カラーチェック)をその場で実施して確認します。
溶接に不備があった場合、そこが杭の弱点となってしまうため、適切に管理しておく必要があります。
また、開先(繋げた杭同士の隙間)の確認も実施します。
⑦打止めトルク確認
打止めトルク確認は試験杭ならではの確認項目です。
杭先端が支持層に到達すると、杭に掛かる抵抗値(トルク値や電流値)が大きくなり、この時の抵抗値を管理基準値とします。
本杭は管理基準値に達したら打設完了という管理方法になるため、管理基準値はとても重要な値となります。
一般的に、鋼管杭ではトルク値、柱状改良杭だと電流値で打止め値を決定します。
また、杭打ち業者の方だと、杭打機の振動具合でも支持層に到達したかどうか判断されています。
⑧残尺確認
杭を打設した後、どれだけ杭の長さが余って地上に飛び出しているか確認します。
過剰に飛び出している部分は、打設後にカットして杭頭処理を行います。
⑨芯ずれ確認
「①墨出しの確認」にて用意した逃げの墨から、芯ずれがないか確認して、問題がなければ作業完了です。
芯ずれの許容値は施工計画の段階でJIS規格等を参考に決めておきますが、おおよそ100mm以内であれば許容範囲内です。
以上で杭打設の立会い作業は完了です。
試験杭立会いのまとめ
本記事では、試験杭立会いの流れについて解説しました。
2015年の杭打ちデータ改竄問題以来、お施主からも杭打設管理は厳しい目で見られるようになっています。
ちゃんと管理できているか突っ込まれても自信をもって返答できるよう、しっかり確認して立会い報告書や写真等の根拠を残すように気を付けましょう。
それでは。