【漫画】「束の間の一花」を読んだ感想

こんにちは。あいです。

この記事では漫画「束の間の一花」を読んだ感想をまとめます。

※読了直後のネタバレなしの感想はブックメーターにまとめています。

私が読んだのは講談社出版の単行本です。

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登場人物について

主役格の登場人物

千田原一花

 16歳の時に余命宣告を受けた女の子。

萬木昭文

 哲学の元大学準教授。余命宣告を受けて退職。

その他の主な登場人物

千田原大樹

 一花の弟。

かおりちゃん

 一花の友人。

じゅんちゃん

 一花の友人。

物語について

この章では、印象に残ったセリフをページ順に引用しながら、感想を交えて物語を振り返ります。

1巻(萬木先生との再会~一花入院)

大学を辞めた萬木先生と再会して、再び会うようになるまでの話。

1巻では、生きる意味を見失った萬木先生に対して、萬木先生に生きる意味を見出している一花が積極的にアプローチしている段階。

個人的には萬木先生の価値観に共感を覚える。

「どうか俺のことなんか忘れて千田原さんは幸せになってほしい…」

「束の間の一花」1巻 (タダノなつ/著 講談社)p.94

たぶんこれが萬木先生の本心だと思う。それでも一花が諦めずに関わってくれて、無理に断る理由もないから一緒にいる。自分を想ってくれている人と一緒にいるのは心地良い。

「…何やってんだろ俺…」

「束の間の一花」1巻 (タダノなつ/著 講談社)p.158

自宅アパートの玄関前で立ち尽くした萬木先生がこぼした一言。

正直な話、既視感しかない。

なんで人生に絶望しているとき人はこんな感じになってしまうのか…

2巻(一花退院~萬木先生入院)

「死ぬのってめっちゃ怖い…」

「束の間の一花」2巻 (タダノなつ/著 講談社)p.16

入院中の一花が弟の大樹にこぼした言葉。

まともに死と向き合ったら絶対行き当たる感情だと思う。

生きていることが当然だと思っているうちは認知し難いが、根本的に死は恐ろしいもの。

とあるゲームの中の話だが、恐怖の感情を覚えたロボットが、その恐怖から逃れるために選んだ答えが自死だった。確かに死が恐怖の対象でなくなれば、死はすべての感情から脱却できる一つの防衛方法として考えられる。しかし死は絶対的に恐ろしいものという前提は揺らぎようがない。

他人の死を軽く発言する人は多くいるが、だれにとっても死は恐ろしいものだということだけは忘れないようにしたい。

「…余命宣告されてから…心のほうが先にくたばってしまった。」

「束の間の一花」2巻 (タダノなつ/著 講談社)p.16

入院中の一花に萬木先生がこぼした言葉。

肉体の死と精神の死、ふつう死といえば肉体の死を指すが、本人にとってより大きな意味を持つのは精神の死だと思う。

一花の存在は別として、私は萬木先生の人生に一種の憧れがあるが、実際に萬木先生の立場になった時にどのような感情を抱くのか、やはり心が折れて何もできなくなるのだと思う。

ただ、終わりの見えた虚無感に浸る、それも一つの幸せなのだと感じてしまうのは考えが甘いのだろうか。

3巻(最期の講義~一花の成人式)

「でも…今さら昔には戻れないんだよね。」

「束の間の一花」3巻 (タダノなつ/著 講談社)p.106

子供の頃みたいに元気な一花に戻ってほしいという大樹のお願いに対して一花が発した言葉。

一花にとって生きる意味だった萬木先生を失って悲しむと同時に、身近な人の死によって自分の死もより鮮明にイメージされるようになったのではないかと想像する。

自分でも戻れるなら戻りたいと思っている、しかし、一度変わってしまった価値観は簡単には変えられない。まして、何も知らなかった頃になど戻れられやしない。

「束の間の一花」を読んだ感想まとめ

本記事では、「束の間の一花」を読んだ感想をまとめました。

最初から報われないことは分かっている切ないお話でしたが、変にお涙頂戴な演出はなく、あくまで日常を描き切った素敵な作品でした。

自分の中の死生観を見つめ直すきっかけにもなれたので読んで良かったです。

それでは。